設立趣意書
地盤品質判定士会中部支部 設立趣意書
我々にとって快適な生活環境の維持は不可欠なものである。住環境もその一端を担っている。建物は居住者に安らぎを創造し、地盤は建物を堅固に支持する役割を担っている。しかし、地盤の品質は一様でなく、地形や地質、造成方法により、その特性はさまざまで、地盤が不良であれば建物の不同沈下や傾斜等となって現れ、住人にとって補修を余儀なくされるどころか、健康不良を招く恐れもあり、多種多様な地盤を適切に評価していくことが課題となっている。
そうした課題に対し、地盤に起因するトラブルを未然に防ごうとする目的から、地盤分野や建築分野に関わる団体が集結し「地盤品質判定士協議会」が組織化され、新たに地盤品質判定士という資格制度が創設された。有資格者で構成される地盤品質判定士会は、住宅及び宅地の防災並びに国民の安全への貢献を目的に、全国の有資格者に地盤品質の判定に関わる技術の研鑽と維持・向上並びにモラルの向上のための情報提供と活動支援を行っている。
我々が居住し、生活・生産活動を行っている中部地域では、南海トラフ巨大地震に伴う宅地の液状化や大規模盛土崩壊などの地盤災害が懸念され、事前防災対策が喫緊の課題となっている。2019年10月には「ぼうさいこくたい2019@NAGOYA」が開催され、約15,000人が来場し、地域住民の災害や防災に対する関心の高さがうかがえた。また、地盤品質判定士会中部支部設立準備会で”宅地の地盤災害への備え”としてブース展示を行ったところ、約170人の来場者を数え、うち約20人より地盤相談を受けるなど、地域住民の地盤に関する問題の存在とその相談相手、解決を支援する組織活動が求められていることが明らかとなった。
このような背景のもと、中部地域で具現的な活動を促進するために、中部地域の地盤の調査・設計・施工に精通した地盤品質判定士及び地盤品質判定士補を組織化して「地盤品質判定士会中部支部」を設立し、地域に密着した活動の推進及び地盤評価の平準化と高度化並びに会員の情報交換を図り、地盤の健全性評価を通じ地域住民の快適な生活環境の維持に寄与する必要があると考えた。このことを確認するため、中部地域の地盤品質判定士及び地盤品質判定士補を対象に、中部支部設立の可否に関するアンケートを募ったところ、支部設立に賛同する多数の回答が寄せられ、支部設立の要望が多数存在することが確認できた。
以上の趣意を踏まえ、地盤品質判定士及び地盤品質判定士補の活躍を支援し、産官学の協働・連携を推進する母体として地盤品質判定士会中部支部の設立が必要と判断する。
2021年4月
地盤品質判定士会中部支部設立準備会