《地盤品質判定士コラム第4回》あぶない地名 -地名に潜む地盤特性と地形の変遷-

1.地名の由来

 私たちが日常生活を過ごすうえで,地名はとても重要です。相互に情報交換をするときに地名(住所)を特定できませんと,共通認識ができません。このような地名はどのように付けられてきているのでしょうか。長い歴史の中では様々なケースがあるとは思いますが,古くから伝わる地名には,地形・地質,自然界の様々な現象や環境を反映したものが多いと言われています。それぞれの地域の歴史を反映し,地域の方々に受け継がれて浸透してきているものも多く,中には災害履歴を反映している地名も存在しています。

 しかし,近年は社会生活の利便性を優先するために,このような地名が改変されてきています。特に,宅地造成などで大規模な土地の改変を行いますと,地名自体が耳に心地よいキラネームに変更されています。分譲地の広告などの例を見ますと,「美しが丘」,「緑丘」,「・・プラーザ」など,美しい名称が使われています。開発前にはそれぞれに地名がありましたが,宅地開発等により名称変更が行われていることがあります。このような地名を調べることは,その土地の持つ特徴を知る一つの手立てになることがあります。以下に,その一部をご紹介いたします。

2.地名が表す地形や環境の例

 下表(※表1)に地名が表す地形や環境の例を示します。

 日本の地名は、音だけをとって別の漢字を当てることも多いので、使われている漢字だけでは、地名の起源がわからないこともあります。地名には、過去に災害にあった人たちが、「ここは危ないぞ」というメッセージを込(こ)めてつけられたものがあります。津波や河川などによって弓なりに削(けず)られた地形を表す「カマ」を使った地名には、釜石(かまいし)、塩竃(しおがま)、鎌倉(かまくら)などがあります。また,新開地では新田という地名を付けることが多く,旧河道,池,沼などを埋立てて,湿田として活用している地域も見られます。このような土地は,軟弱な地層で構成されていることが多いですので,十分な注意が必要となります。

 ただし,これらの地名の全てが「あぶない地域」を表しているわけではありません。地名に潜みます地形や環境などの地盤リスクを認識し,各地域の特性を考慮しながらそれぞれの防災活動に繋げることが重要だと思います。

表1 地名が表す地形や環境の例

3.昔の地形

 国土地理院では,現在販売している地形図より古い地形図を「旧版地図」と呼んで管理し,それらを利用するための情報をホームページで公開しています。旧版地形図を利用すれば,昔の地形や土地の利用状況を知ることができます。下図は、東京ディズニーランド周辺の旧版地図と現在の地形図の比較です。この地域が大規模に海を埋め立てて造られたことがわかります。また,地名にはご存知の通り「舞浜」という美しい名前が付けられています。今昔マップは下記のサイトでアクセスできますので,一度覗いてみるのも良いと思います。

旧版地図と現在の地形図の比較
(国土地理院発行25,000分の1地形図「浦安」に一部加筆)

【参考】
 全国地質調査業協会連合会:小冊子,日本ってどんな国-地図に学ぶ-,2019.5.29

◆時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」
https://ktgis.net/kjmapw/

小田部 雄二

(株)アサノ大成基礎エンジニアリング理事,兼,地盤品質判定士協議会・(一社)地盤品質判定士会 事務局長。地質コンサルタントとして長年従事し,2019年度から地盤品質判定士協議会の事務局長を兼任,2020年度から地盤品質判定士会の事務局長を兼任。全国地質調査業協会連合会技術委員,地質リスク学会運営幹事,関東地質調査業協会理事,関東土質試験協同組合理事長,構造調査コンサルティング協会副会長。『地盤と建築をつなぐ-地盤品質判定士をめざして』(共著)。地盤品質判定士の更なる社会貢献を目指し,全国の資格取得者を増やすと共に社会的地位の向上を図るべく精力的な活動を行っている。

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